本技術は、掘削爪と孔を有する先端金物を端部に溶接接合した鋼管を回転貫入して埋設し、杭状地盤 補強材(以下、“補強材”と称す)として利用する地盤補強工法である。
本技術は、掘削爪と孔を有する先端金物を鋼管端部に溶接接合した杭状地盤補強材(以下、“補強材” と称す)を回転貫入して埋設し、この補強材の支持力と基礎底面下地盤の支持力を累加して利用する地盤補強工法である。 なお、本工法に用いる補強材は、2019 年9 月9 日に(一財)日本建築総合試験所建築技術性能証明 第19-08 号として性能証明されているかん兵衛工法を用いることとしている。
本工法に用いる先端金物の特徴は、鋼管と同一外径であること、先端コーンと掘削爪を有すること、2カ所の孔が設けられていることである。
また、本工法の施工管理において、打ち止め後に衝撃載荷試験により支持力確認を行うことも特徴としている。
分類 | 項目 | 特記仕様の概要 | |||
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かん兵衛工法 | かん兵衛ラフト工法 | ||||
適用範囲 | 対象構造物 |
1.地上3 階以下,高さ13 m 以下,延べ面積1500 m2以下(平屋に限り3000 m2以下)のすべてを満たす建築物 2.高さ3.5 m 以下の擁壁 3.高さ13 m 以下の広告塔等の工作物 |
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土質 | 砂質土、粘性土(ロームを含む) | ||||
調査法 |
スウェーデン式サウンディング(SWS)試験 大型動的コーン貫入(SRS)試験 |
スウェーデン式サウンディング(SWS)試験 | |||
地盤補強材 | 鋼管外径 | 89.1~165.2 mm | |||
鋼管厚さ | 2.3~9.5 mm | ||||
鋼管長 | 1 m 以上,鋼管外径の130 倍かつ21.5 m 以内 | ||||
施工管理 | 打ち止め管理 | 地盤調査結果との対比 | |||
支持力確認 | 衝撃載荷試験 |
調査法 | 適用土質 | 補強材先端地盤 | 補強材周面地盤 |
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SWS試験 | 砂質土 | ||
粘性土(ロームを含む) | |||
SRS試験 | 砂質土、粘性土(ロームを含む) |
SWS試験の場合:
SRS試験の場合:
:補強材1本あたりの地盤で決まる許容支持力
:先端支持力係数(砂質土65、粘性土50)
、 :補強材先端地盤の平均値
:補強材の有効断面積( )
、 :補強材周面地盤が砂質土の場合の摩擦を考慮する範囲の平均値
:補強材周面地盤が砂質土の場合に摩擦を考慮する層厚(m)
、 :補強材周面地盤が粘性土の場合の摩擦を考慮する範囲の平均値
:補強材周面地盤が粘性土の場合に摩擦を考慮する層厚(m)
:補強材周長(m)
:補強材1本あたりが負担する複合地盤の許容支持力度(kN/ )
:基礎面積に対する補強材の負担面積の比
:基礎の極限支持力度(kN/ )
:複合地盤の補強材1本あたりの極限支持力(kN)
:補強材1本あたりの許容圧縮耐力(kN)
:補強材の断面積( )
:補強材1本あたりが負担する基礎面積( )
:複合地盤の補強材の寄与係数(長期:1.7)
:安全率(長期:3)
調査法 | 適用土質 | 適用範囲 |
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SWS試験 | 砂質土 | |
粘性土(ロームを含む) |
:基礎の極限支持力度(kN/ )
:基礎下2m間のSWS試験の荷重の平均値(kN)
:基礎下2m間のSWS試験の1mあたりの半回転数の平均値(回)
調査法 | 適用土質 | 補強材先端地盤 | 補強材周面地盤 |
---|---|---|---|
SWS試験 | 砂質土 | ||
粘性土(ロームを含む) |
:補強材1本あたりの地盤で決まる極限支持力(kN)
:先端支持力係数(砂質土65、粘性土50)
:補強材先端地盤の平均値
:補強材の有効断面積( )
:補強材周面地盤が砂質土の場合の摩擦を考慮する範囲の平均値
:補強材周面地盤が砂質土の場合に摩擦を考慮する層厚(m)
:補強材周面地盤が粘性土の場合の摩擦を考慮する範囲の平均値
:補強材周面地盤が粘性土の場合に摩擦を考慮する層厚(m)
:補強材周長(m)
従来の先端翼を有する鋼管を用いた杭状地盤補強工法は、大きな先端支持力が得られる一方、施工時に周面地盤を乱すことや施工時に生じるねじり力に抵抗できる鋼管仕様が求められる等の問題がある。 また、先端翼を有しない鋼管を用いた杭状地盤補強工法は、先端翼を有する場合に比べて周面地盤を乱す程度は小さいが、回転貫入性能が劣る等の問題がある。 そこで、本工法では先端金物について、鋼管と同一外径とすることで周面地盤を攪乱せず、かつ、コーンと掘削爪を配置して貫入性能の改善を図り、さらに、孔を設けて施工時の圧入抵抗と衝撃載荷試験時に生じる過剰間隙水圧の低減を図っている。
本工法では、基礎底面下地盤の支持力を評価して補強材の支持力に累加することで、補強材のみで建物荷重を支える場合に比べて、補強材の径や長さ等の仕様を抑えることが可能となり、経済的な基礎の設計が可能となる。
本技術についての性能証明の内容は、単杭状の補強材の鉛直支持力についてのみを対象としており、以下の通りである。 申込者が提案する「かん兵衛工法 設計・施工指針」に従って施工された補強材の許容支持力を定める際に必要な地盤で決まる極限支持力は、同指針に定めるスウェーデン式サウンディング試験または大型動的コーン貫入試験の結果に基づく支持力算定式で適切に評価できる。
本技術についての性能証明の内容は、補強地盤の鉛直支持力についてのみを対象としており、以下のとおりである。 申込者が提案する「かん兵衛ラフト工法 設計・施工指針」に従って施工された補強地盤の長期荷重時の鉛直荷重に対する支持能力は、同指針に定めるスウェーデン式サウンディング試験結果に基づく支持力度算定式で適切に評価できる。